仙腸関節痛はお尻の奥や足のつけ根に痛みが現れる症状です。放置すると慢性化し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。また、原因や対処法がよく知られておらず、誤ったケアによって痛みを長引かせてしまうケースも少なくありません。この記事では、仙腸関節痛の代表的な症状や主な原因をはじめ、坐骨神経痛や椎間板ヘルニアなど、よく似た疾患との違いを解説。さらに、自宅で取り組める簡単なセルフケアや医療機関で受けられる施術内容についても紹介します。
仙腸関節痛とは
仙腸関節痛(せんちょうかんせつつう)とは、骨盤の後方にある「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」に生じる機能不全や炎症によって引き起こされる痛みの総称です。
まず仙腸関節とは、背骨の最下部に位置する仙骨と左右の腸骨をつなぐ関節のこと。上半身の重さを支えるとともに、歩行時の衝撃を分散する役割を担っています。
もともと動きの少ない関節ですが、ほんのわずかなズレや硬さに敏感です。関節の動きに乱れが生じると周囲の靭帯や神経にストレスがかかり、痛みを引き起こします。
レントゲンやMRIなどの画像検査では明確な異常が見つかりにくく、「原因不明の腰痛」として扱われてしまうケースも少なくありません。
仙腸関節痛によくみられる主な症状
仙腸関節痛の症状は、人によって現れ方が異なります。しかし、共通する傾向を知っておくことで早期の気づきや適切な対応につなげることが可能です。ここでは、仙腸関節痛によくみられる主な症状を3つ紹介します。
お尻の奥を押すとズキッと痛い
仙腸関節痛でよく見られるのが、お尻の深部に響くような鋭い痛みです。
骨盤の縁あたり(左または右のお尻の中央からやや外側)を指で押したとき「ズキッ」と強く響く痛みが出る場合は、仙腸関節に何らかの異常がある可能性が高くなります。
この痛みは、筋肉や皮膚の表層に限ったものではなく、骨盤の奥から突き上げるような鈍痛として現れるのが特徴です。電気が走るような刺激や片側のお尻にしびれを伴うことがあります。
多くは片側のお尻に限定されますが、症状が強い場合には両側に及ぶケースも珍しくありません。
立つ・座るなど特定の動きで痛くなる
仙腸関節痛は、椅子から立ち上がる瞬間や長時間座った後に体を動かすといった場面で痛みが出るのも特徴です。
また、寝返りを打つときや、片足で立つ・階段を昇り降りする動作など、体のバランスが求められる場面でも痛みを感じることがあります。これは仙腸関節に不安定な荷重がかかり、炎症やズレのある部分に負担が集中するためです。
こうした「特定の動作で痛みが出る」という傾向は、他の腰痛との見分ける際に役立ちます。日常生活の中で思い当たる動作がある場合は注意が必要です。
足のつけ根や太ももまで痛みが広がる
仙腸関節痛は骨盤まわりに限らず、下半身まで痛みが広がることがあります。特に多いのが、足のつけ根(鼠径部)や太ももの裏側・外側への放散痛です。さらに進行すると、ふくらはぎのあたりまで違和感を覚える人もいます。
放散痛の範囲や感じ方には個人差があるものの、坐骨神経痛と症状がよく似ており、見分けがつきにくいケースがあります。足のつけ根や太ももにまで痛みが及んでいる場合は、腰椎や椎間板の問題だけでなく、仙腸関節の状態にも目を向けることが大切です。
仙腸関節痛を起こす主な原因
仙腸関節痛は、ちょっとした習慣や動作の積み重ねから起こることが多い不調です。ここでは、よくある原因を6つに分けてご紹介します。
ずっと座ったままの生活
デスクワークや長距離運転など、長時間座ったままの状態が続くと仙腸関節にじわじわと負荷がかかります。特に浅く腰をかけたり、背中を丸めた姿勢が習慣になっている場合は注意が必要です。姿勢が悪い状態で長時間座り続けると骨盤の傾きが乱れ、仙腸関節を傷める原因につながります。可能な限り、1時間に一度のペースで立ち上がり、軽く体を動かす時間をつくることが大切です。
重い物をよく持つ仕事や動作
介護や運送、引っ越し業など、重い物を持ち上げる動作が日常的にある仕事では、仙腸関節へのダメージが蓄積しやすくなります。たとえば、中腰で重い荷物を持ち上げたり、腰をひねりながら力を加えたりする場面では、骨盤まわりに強い圧力やねじれがかかります。リスクを抑えるためには、必要以上に腰に負担をかけない動き方を意識してみましょう。
体重が増えると関節に負担がかかる
体重が増えると、そのぶん関節にかかる負担も大きくなります。特にお腹まわりの筋力が弱いと、体を支えるのが関節まかせになり、炎症や痛みにつながることがあります。体重のコントロールとあわせて、腹筋や背筋をしっかり使える体づくりを意識してみてください。
無理な姿勢:腰をひねる・大きく足を開くなど
ゴルフや野球、ヨガ、バレエなど、体を大きく動かすスポーツや動作も仙腸関節に負担をかけることがあります。普段の生活でも足に重心をかけて立つクセや、いつも同じ側で荷物を持つなど、左右アンバランスな動きが続くと関節にゆがみが出やすくなります。できるだけバランスよく体を使うことを心がけましょう。
足を組んで座るクセ
足を組んで座る姿勢は骨盤のゆがみを引き起こす原因のひとつです。特に、毎回同じ側で足を組むクセがあると、片方の仙腸関節にだけ負担がかかり、炎症や違和感が出やすくなります。日頃から、骨盤がまっすぐになるよう意識して座ることが大切です。
運動不足で筋力が落ちている
仙腸関節の安定性を保つには、腹部や背中、臀部といった体幹を支える筋肉の働きが欠かせません。しかし、運動不足が続くとこれらの筋群の機能が低下し、結果として関節周囲にかかる負担が増すことがあります。予防の観点からも 無理のない範囲でウォーキングやストレッチ、軽度の筋力トレーニングを生活の中に取り入れていきましょう。
仙腸関節痛と間違えやすい症状との違い
仙腸関節痛は腰や下半身に広がる痛みをともなうため、ほかの腰痛疾患と区別がつきにくいことがあります。特に坐骨神経痛や椎間板ヘルニアとは症状が似ており、仙腸関節痛を見落としてしまうケースも少なくありません。ここでは、それぞれの症状との違いをわかりやすく整理し、仙腸関節痛を見分けるポイントを解説します。
坐骨神経痛との違い
坐骨神経痛は、お尻から太もも、ふくらはぎまで伸びる神経が圧迫されることで起こる痛みやしびれの症状です。電気が走るような刺激やピリピリとした感覚が特徴。神経の通り道に沿って痛みが広がります。
仙腸関節痛でも、お尻や太ももにかけて違和感が出ることがありますが、痛みの出方や場所に違いがあります。仙腸関節痛は、お尻の奥、骨盤の付け根あたりを押すと痛みがはっきり出るのが特徴です。神経痛特有の強いしびれは比較的少なく、動きによって痛みが変化する傾向も見られます。
椎間板ヘルニアとの違い
椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫することで起こる疾患です。腰から足にかけての痛みやしびれ、場合によっては脚の筋力低下がみられることもあります。
この症状は仙腸関節痛とも似ていますが、椎間板ヘルニアでは前かがみの姿勢や咳・くしゃみなどで痛みが現れやすいのが特徴です。
また、痛みの範囲が神経の通り道に沿って明確に出ることが多く、「片足の裏側だけがしびれる」といった偏った症状が見られる傾向があります。
仙腸関節痛を和らげる自宅でのセルフケア
仙腸関節痛は、日常のちょっとした工夫や軽い運動で緩和が期待できます。
まず意識したいのは、長時間同じ姿勢を避けること。1時間に一度は立ち上がって歩いたり、背伸びをしたりすることで、関節のこわばりを防げます。
また、骨盤まわりの筋肉をやわらかく保つストレッチも効果的です。たとえば、仰向けで両ひざを胸に引き寄せる動きや、イスに座って足を組み、上体を前に倒す動きなどは、お尻の奥の筋肉をほぐして関節の負担をやわらげます。
立つときは骨盤が前後に傾かないよう意識し、座るときは背もたれにきちんと背中を預けましょう。骨盤サポーターやクッションを使うのもおすすめです。
仙腸関節痛を和らげる病院などでの改善方法
仙腸関節の痛みが長く続くときや、痛み・しびれが強いときは、早めに専門の医療機関でみてもらうことが大切です。
整形外科では、体の様子をくわしく確認し、必要に応じて画像を使った検査を行いながら、痛みの原因に合わせた対応が進められます。炎症が強い場合は、痛み止めや筋肉をゆるめる薬、関節に注射をして痛みをおさえる方法がとられることもあります。
また、筋力の低下や姿勢の乱れが関係している場合には、リハビリで骨盤まわりを整える方法も効果的です。専門スタッフのサポートのもとで行うことで、痛みの軽減だけでなく、再発の予防にもつながります。
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広島周辺にお住まいの方で、仙腸関節痛にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。