50肩(五十肩)とは:定義・原因・経過

50肩の定義と特徴
「50肩(五十肩)」とは、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれる状態を指します。40〜60代を中心に多くみられる肩の痛みと動かしにくさを伴う症状で、腕を上げる・後ろに回すなどの日常動作が制限されることが特徴とされています(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
50肩は突然発症することもあり、最初は「ちょっと肩が痛い」と感じる程度でも、次第に腕を上げるのがつらくなったり、夜間にズキズキと痛みが出て眠れなくなったりすることがあります。多くの場合、片側の肩に起こりますが、数年後に反対側に起こる人もいるようです。
この症状は、筋肉や腱、関節包(肩の関節を包む膜)などの炎症によって引き起こされると考えられています。いわゆる“加齢による老化現象”だけではなく、血流の低下や姿勢の崩れ、日常生活での動作のクセなども関係していると言われています(引用元:https://soga-centralclinic.jp/frozen_shoulder/)。
なぜ起こるのか:主な原因
50肩の原因はひとつではなく、複数の要因が重なって起こるとされています。加齢に伴って肩の関節や腱板の柔軟性が失われ、ちょっとした刺激でも炎症が起きやすくなることが背景にあるようです。また、長時間のデスクワークや猫背などの姿勢不良によって、肩関節周囲の筋肉に負担が蓄積し、血流が悪くなることで症状が現れやすくなるとも言われています(引用元:https://keisuikai.or.jp/patient/五十肩/)。
さらに、糖尿病や甲状腺疾患などの代謝異常がある場合、肩周囲の組織が硬くなりやすく、50肩を発症しやすい傾向があると報告されています。体の使い方や健康状態によっても発症リスクは変化するため、単に“年齢のせい”だけで片づけられるものではないと考えられています。
経過と自然改善の流れ
50肩は大きく「炎症期」「拘縮期」「回復期」という3つの段階を経て進行すると言われています(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
炎症期では強い痛みと熱感があり、夜間痛が起こりやすい時期です。この段階では無理に動かすことは避け、安静と冷却を中心にケアすることがすすめられています。
拘縮期になると痛みはやや落ち着くものの、関節の動きが硬くなり「髪を結べない」「背中に手が届かない」など、可動域制限が強くなる時期です。
回復期では少しずつ肩が動くようになり、ストレッチやリハビリで機能を取り戻すことが可能だと言われています。
このように、50肩は時間の経過とともに改善していく傾向がありますが、症状が長引く人も多く、適切なケアを行うことで回復までの期間を短縮できると考えられています。
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50肩の段階別症状と見分け方

炎症期(初期):痛みが最も強い時期
50肩の始まりは「炎症期」と呼ばれる段階で、肩の関節包(かんせつほう)や腱に炎症が起き、ズキズキとした痛みが現れると言われています。特に夜間に痛みが強まり、寝返りをうつたびに目が覚めてしまうこともあります(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
この時期は、関節を動かすたびに激しい痛みが出やすく、腕を上げる、髪を結ぶ、背中に手を回すといった動作がしづらくなります。炎症が強いと、安静にしていてもジンジンとした痛みを感じることがあります。急に動かすと炎症が悪化するため、この時期は「無理に動かさないこと」が大切だと言われています。
日中は痛みが軽くても、夜間の冷えや疲労で痛みが再燃することが多く、慢性的な睡眠不足に悩まされるケースもあります。湿布や冷却などで熱感を和らげつつ、安静を保つようにしましょう。
拘縮期(中期):動かしづらさが強くなる時期
炎症期を過ぎると、痛みが少し落ち着く代わりに肩の動きがどんどん硬くなる「拘縮期」に入ることが多いとされています。この時期の特徴は、関節包が縮んで肩の可動域が狭くなることです。腕を上げようとしても途中で止まってしまい、「服を着るとき」「洗濯物を干すとき」に動かしづらさを感じやすくなります(引用元:https://soga-centralclinic.jp/frozen_shoulder/)。
痛み自体は炎症期ほど強くはありませんが、無理に動かすとピキッとした痛みが走ることがあります。このため、日常生活では「動かせる範囲で少しずつ動かす」ことが重要だと言われています。肩まわりの血流を保つために、軽いストレッチや温めを取り入れるのもよいとされています。
また、拘縮期は人によって数か月から1年以上続くことがあり、焦らず継続的なケアが必要です。
回復期(後期):動きが戻ってくる時期
最後の段階が「回復期」です。炎症や拘縮が徐々におさまり、少しずつ腕が動かせるようになってくる時期だとされています。この段階では、痛みよりも「動かしたときの突っ張り感」や「肩のこわばり」を感じる人が多いようです(引用元:https://keisuikai.or.jp/patient/五十肩/)。
可動域を広げるためには、肩の前後・上下・回旋(ひねり)の動きをバランスよく取り入れたストレッチがすすめられています。肩甲骨を意識した運動を加えると、動作全体がスムーズになりやすいとされています。
ただし、いきなり重いものを持つ・激しい運動をするのは再炎症のリスクがあるため、段階的に負荷を上げていくことが重要です。
自分の段階を見分けるポイント
「痛みの強さ」「夜間の痛み」「肩の動きの範囲」でおおまかな段階を判断できます。
- 安静でも強い痛みが出る → 炎症期
- 動かすと痛いが安静時は落ち着く → 拘縮期
- 動かしづらいが徐々に改善傾向 → 回復期
自分の状態を知ることで、どのようなケアを行うべきかを見極めやすくなると言われています。
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セルフケア/ストレッチ・運動法(段階別)

炎症期:安静と冷却で痛みを抑える
50肩の初期段階である炎症期は、痛みが最も強く、夜間痛が出やすい時期だと言われています。この時期は「無理に動かさず、炎症を落ち着かせること」が最も重要です(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
炎症が強い状態でストレッチをすると、かえって痛みが増すことがあるため、まずは安静と冷却を中心に行いましょう。痛みが出やすいのは夜間や入浴後など、血流が増加しているときです。氷や保冷剤をタオルに包み、1回10〜15分程度を目安に冷やすと炎症の軽減につながるとされています。
ただし、冷やしすぎると血流が悪くなる場合もあるため、痛みが和らいできたら徐々に温めて筋肉を緩める方法へ移行します。軽い運動としては、「振り子運動(コッドマン体操)」が代表的です。前かがみの姿勢で腕をぶら下げ、小さく前後・左右にゆらすだけで、関節への負担を少なく動かせると言われています。
拘縮期:可動域を広げるストレッチ
痛みが落ち着いてきたら、「拘縮期」に入り、今度は肩の動きが制限されやすくなります。この時期の目的は関節の動きを少しずつ取り戻すことです。無理に動かすのではなく、「じんわり伸ばす」イメージで行うとよいとされています(引用元:https://keisuikai.or.jp/patient/五十肩/)。
おすすめの運動は「タオルストレッチ」です。両手でタオルの端を持ち、背中の後ろで上下に引っ張るように動かします。最初は肩甲骨を動かす範囲で十分です。また、壁を使った「壁歩きストレッチ」も有効です。壁に手の指をつけ、痛くない範囲でゆっくり上に指を歩かせるようにしていきます。
このとき、息を止めずに自然な呼吸を意識することが大切です。痛みが強く出た場合は無理をせず、その日のうちに再度冷却を取り入れるなど、状態に合わせて調整しましょう。
回復期:筋力を戻すリハビリ運動
肩の可動域が広がってきたら、「回復期」に入ります。ここでは、筋肉を再び使えるようにして再発を防ぐことが目的になります。炎症や拘縮が落ち着いている段階では、軽い負荷をかけた運動がすすめられています(引用元:https://soga-centralclinic.jp/frozen_shoulder/)。
代表的なのは、ゴムチューブやペットボトルを使ったインナーマッスル強化です。肘を90度に曲げ、体の横で軽く引くようにすると、肩の深い筋肉(棘下筋・小円筋など)を刺激できます。もう一つは「肩甲骨寄せ運動」。背中で両肩甲骨をゆっくり近づけて5秒キープし、ゆるめる動作を繰り返します。
この時期は、血流を促すために温熱療法(温タオルや入浴)を組み合わせると、筋肉が柔らかくなりやすいと言われています。ただし、急に激しい運動を始めると再炎症を起こすこともあるため、段階的に負荷を上げることが重要です。
継続が改善への近道
50肩の回復には時間がかかることが多く、数か月単位で変化を見ていく必要があるとされています。焦らず「痛みを悪化させない範囲」で継続することが、最も確実な改善につながると言われています。
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医療的対応:注射・関節包拡張・手術など選択肢

炎症が強い場合の注射療法
50肩(五十肩)で炎症や痛みが強い場合、医療機関では注射による炎症コントロールが行われることがあります。主にステロイド注射やヒアルロン酸注射が用いられることが多く、関節内や滑液包(関節のクッション部分)に注入して炎症を抑える方法です(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
ステロイド注射は、強い炎症反応を抑える効果が期待できる一方で、頻回に行うと副作用が出る可能性も指摘されています。そのため、「短期間で強い痛みを和らげたい場合」に限定的に使用されることが多いと言われています。また、ヒアルロン酸注射は関節の潤滑性を高め、動かしやすくする効果があるとされています。
これらの注射療法は、物理療法(温熱療法や低周波治療)と組み合わせることで、より効果的に肩の可動域改善を促せるケースもあるようです。
関節包拡張(ハイドロリリース)療法
痛みが落ち着いたにもかかわらず、肩の可動域が制限されたまま改善しにくい場合には、「関節包拡張術」と呼ばれる処置が行われることがあります。これは、生理食塩水などを関節包内に注入して、癒着(くっついた組織)を少しずつ引き離す方法です(引用元:https://keisuikai.or.jp/patient/五十肩/)。
近年では「ハイドロリリース」という超音波ガイド下の注射法も注目されています。筋膜や関節包の癒着部分にピンポイントで注射を行い、動きを滑らかにする効果があると言われています。これにより、リハビリやストレッチがしやすくなるケースも多いようです。
ただし、どちらの方法も一度で劇的に改善するわけではなく、施術後のリハビリとの併用が欠かせないとされています。動きを取り戻すためには、適切な期間をかけて筋肉や関節を再教育していくことが重要です。
関節鏡手術の選択肢
ごく一部のケースでは、関節鏡手術が選択されることもあります。これは、長期間(1年以上)にわたり可動域が回復せず、日常生活に大きな支障をきたす場合などに検討されることがあるようです(引用元:https://soga-centralclinic.jp/frozen_shoulder/)。
関節鏡を用いた手術では、癒着した組織を直接確認しながら丁寧に切開・剥離していきます。傷口は小さく、回復も比較的早いとされていますが、術後には必ずリハビリが必要です。
また、手術を行う前に「保存療法(ストレッチや注射など)」を一定期間行うのが一般的な流れとされています。
医療対応を受けるタイミング
痛みが長引く、夜間痛が強く眠れない、半年以上経っても動かしづらさが改善しない場合は、整形外科で相談することがすすめられています。
医療的な処置は、セルフケアや自然改善をサポートするための手段として活用するのが現実的です。
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継続管理・予防と注意点・やってはいけないこと

再発を防ぐための継続ケアの重要性
50肩(五十肩)は、症状が一度落ち着いても再発や反対側への発症が起こることがあると言われています。そのため、「痛みが引いた=完治」と考えず、日常的なケアを継続することが大切です(引用元:https://rehasaku.net/magazine/shoulder/frozenshoulder-cure/)。
肩関節は非常に可動域が広く、使わない期間が続くと筋肉や関節包が再び硬くなりやすい傾向にあります。特にデスクワークやスマホの操作など、腕を前に出した姿勢が長く続くと、肩が内巻きになりやすく、再び可動域が狭くなる原因になると指摘されています。
予防の第一歩は、日常的に肩を大きく動かす習慣を持つことです。朝や入浴後の体が温まっているタイミングで、腕を前後・左右にゆっくり回すだけでも十分な刺激になります。また、肩甲骨まわりの柔軟性を保つことで、関節への負担を軽減できるとされています。
やってはいけない動作・悪化させる生活習慣
50肩の回復期でも、急な負荷や無理な動作は症状を悪化させる原因になります。特に次のような行動は避けた方がよいとされています(引用元:https://keisuikai.or.jp/patient/五十肩/)。
- 強い痛みを我慢して無理にストレッチをする
- 重い荷物を肩に担ぐ、または片側ばかり使う
- 寝るときに痛い方の肩を下にして横向きになる
- 冷房の風を直接肩に当てる
これらは、炎症の再燃や筋肉の緊張を招くことがあります。特に「もう動くから大丈夫」と思って急に運動量を増やすと、再発リスクが高まるため注意が必要です。
姿勢と環境を整えることも予防の鍵
予防のもう一つのポイントは、姿勢と生活環境の見直しです。猫背や巻き肩姿勢は肩の動きを制限し、関節への負担を増やす原因になると言われています(引用元:https://soga-centralclinic.jp/frozen_shoulder/)。
椅子の高さを調整し、肘が自然に体の横にくる姿勢を意識しましょう。また、デスクワークの合間に1時間に一度は立ち上がって軽く肩を回す習慣をつけると、血流の滞りを防げます。
寒い季節は肩を冷やさないようにストールやカーディガンを使うこともおすすめです。体温が下がると筋肉が硬くなりやすく、肩まわりの動きが悪くなる傾向があります。
定期的なセルフチェックで早期対応を
「反対側の肩に違和感がある」「動かすと突っ張る」などの初期サインがあれば、早めにケアを始めることが重要です。軽いストレッチや温めを行い、違和感が続く場合は整形外科や専門の施術院で相談するのが安心です。
継続的に体を動かし、姿勢と生活習慣を整えることが、50肩の再発予防につながるとされています。
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