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人工膝関節置換術の主な合併症リスク9つ|予防策と術後の注意点

人工膝関節置換術(TKA)は、変形性膝関節症や関節リウマチなどによる膝の痛み・機能障害を改善し、生活の質を大きく向上させる効果的な手術です。ただ、どんなに技術が進んでも、術後に思わぬトラブルが起きてしまうこともあります。

目次

人工膝関節置換術の合併症とは

人工膝関節置換術(TKA)は、変形性膝関節症や関節リウマチなどによる膝の痛み・機能障害を改善し、生活の質を大きく向上させる効果的な手術です。ただ、どんなに技術が進んでも、術後に思いがけない合併症が起こることはあります。

膝関節周囲に起こる可能性のある合併症と予防法

合併症は、手術そのものに起因するものや、術後の体の反応・生活環境によって引き起こされるものまでさまざまです。それほど多くはありませんが、いざ起きてしまうと、痛みがぶり返して再手術が必要になることも。

感染症

人工関節置換術後に発症する細菌感染。創部や人工関節に細菌が侵入することで発熱・腫れ・膿などが起こります。特に免疫力が低い方(糖尿病、ステロイド使用者など)や口腔内の感染がある方はリスクが高まります。

予防のためにできること

  • 術前に歯科検診を受け、虫歯や歯周病を検査しておく
  • 傷口はむやみに触らず、ガーゼの交換や消毒は、必ずお医者さんの指示に従って行いましょう
  • 術後も清潔な環境を心がけ、傷口に違和感があればすぐ病院に相談しましょう

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)

血液が静脈内で固まり血栓ができる疾患。長時間の安静や術後の脱水、肥満、加齢などが原因。血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症を引き起こし、命に関わることも。

予防のためにできること

  • 術後すぐから足首を動かす・足を上げるなど簡単な運動をする
  • ベッドの上でも足先を上下に動かす「足踏み運動」を意識する
  • こまめに水分をとって、血液が固まりにくい状態を保つようにしましょう
  • 弾性ストッキングは、使い方を守って正しく着用するようにしましょう

人工関節のゆるみ・破損

人工関節は、使い続けるうちに少しずつ緩んだり、すり減ったりすることがあります。その影響で、痛みが出て動きが悪くなることも。加齢や体重の増加、激しい運動、骨粗しょう症などが主な原因とされています。

予防のためにできること

  • 無理な動作や重い物の持ち運びは避け、膝に負担をかけない生活を心がける
  • 体重管理をして、人工関節にかかる負荷を減らす
  • 日常的な軽い運動(ウォーキングやストレッチ)で筋力を維持する
  • 定期的に通院し、関節の状態をチェックする

出血・血腫

手術や術後に出血が起こり、血腫ができて関節の腫れや痛みを引き起こす。抗血栓薬の使用者や高血圧の方はリスクが高くなります。

予防のためにできること

  • 術後しばらくは膝に圧をかけないよう注意する
  • 膝周囲に腫れや強い痛みがある場合は、早めに医師に相談する
  • 出血を抑えるため、処方薬の飲み方は厳守する(特に血液サラサラの薬)

転倒による骨折・周囲損傷

手術後の不安定な状態で転倒すると、人工関節周囲の骨折や脱臼が発生することがあります。特に高齢者や筋力の弱い方、視力や認知機能の低下がある方がリスク。

予防のためにできること

  • 室内につまずく原因(段差・カーペット)がないか見直す
  • 術後は杖や歩行器を使って安全に歩く
  • 夜間用の足元照明をつける、トイレまでの動線を整える
  • 一人での外出は避け、できるだけ家族と一緒に行動する

神経・血管損傷

膝周囲には重要な神経や血管があり、手術中に損傷する可能性があります。術後にしびれ、感覚異常、血行障害として現れることがあります。

予防のためにできること

  • 術後のしびれ・冷え・色の変化を見逃さず、異常があればすぐ医師に報告
  • 膝を圧迫しないよう、ゆったりした衣類や膝サポーターを選ぶ
  • 足先の感覚を日々チェックして、左右差に気づく習慣をつける

関節拘縮・可動域制限

膝が硬くなり、曲げ伸ばしがしづらくなる状態。リハビリ不足や関節の癒着、筋力低下などが原因となります。

予防のためにできること

  • リハビリは「少し痛いくらいがちょうどいい」と思って、毎日コツコツ続ける
  • 無理しすぎないようにしながらも、毎日少しずつ続けることがいちばんの予防になります
  • 自宅でも指導された体操やストレッチを継続的に行う
  • 「今日は動かしたくないな…」と思った日ほど、軽くでも体を動かす習慣を大切に

その他に考えられる合併症・体調リスク

人工膝関節置換術(TKA)では、感染症や血栓などの代表的な合併症のほかに、体質や既往歴によって生じるリスクも存在します。

たとえば「金属アレルギー」は、人工関節に使用されるコバルトやニッケルなどの金属に反応して、関節の腫れや慢性的な痛み、皮膚のかゆみなどが起こることがあります。アレルギー体質の方は術前に必ず申告し、必要に応じてパッチテストを受けましょう。

また、麻酔の影響で血圧が大きく変動し、不整脈や混乱(せん妄)が起きることもあります。特に高齢者や持病のある方は注意が必要です。

こうしたリスクも、事前に検査を受けたり、医師としっかり相談しておくことでかなり減らすことができます。不安があれば早めに相談し、万全の準備で手術に臨むことが大切です。

人工膝関節置換術の前に備えておきたいこと

人工膝関節置換術(TKA)の成功には、術前の準備が重要です。特に生活習慣の見直しと術前運動(プリハビリ)は、術後の回復を促進し、合併症のリスクを低減します。 

生活習慣を見直す(禁煙・血糖コントロールなど)

術前の生活習慣の改善は、手術の安全性と回復力に直結します。喫煙は血流を悪化させ、創傷治癒を遅らせるため、術前の禁煙が推奨されます。また、糖尿病患者は感染症のリスクが高まるため、血糖コントロールが重要です。さらに、肥満は人工関節への負担を増加させるため、体重を無理なくキープしておくことも大切です。これらの生活習慣の見直しにより、術後の合併症リスクを軽減し、回復をスムーズに進めることができます。

術前の運動(プリハビリ)で筋力を保つ

プリハビリとは、術前に行うリハビリテーションで、筋力や柔軟性を高めることを目的としているのが特徴。特に大腿四頭筋や中殿筋などの強化は、術後の歩行能力や日常生活動作の回復に寄与します。また、体幹の安定性を高めることで、バランス能力が向上し、転倒リスクを減少させます。術前からの運動習慣は、術後のリハビリの効果を高めて、できるだけ早く日常生活に戻れるようサポートしてくれます。

人工膝関節置換術後の生活における注意点

人工膝関節置換術(TKA)の生活では、リハビリテーションの継続、生活環境の整備、体調管理が重要です。以下にそれぞれのポイントを解説します。

リハビリテーションを継続する

術後のリハビリは、膝の機能回復と合併症予防に不可欠です。手術によって痛みは軽減されますが、筋力や関節の可動域は自然には戻りません。リハビリを怠ると、関節の拘縮や筋力低下が進行し、日常生活に支障をきたす可能性があります。特に、術後2〜3ヶ月間は集中的なリハビリが推奨されており、退院後も通院リハビリを継続することで、歩行能力や膝の安定性が向上します。 

生活環境を整える・膝に過度な負担をかけない

術後の生活環境の見直しは、膝への負担を軽減し、再発や合併症の予防に役立ちます。和式トイレや布団からの起き上がりなど、膝を深く曲げる動作は避け、洋式トイレやベッドの使用を検討しましょう。また、階段には手すりを設置し、滑りにくい靴を選ぶことで、転倒リスクを減少させます。重い荷物を持つ際は、片側に負担がかからないよう工夫が必要です。 

体調を維持する・感染症を予防する

術後の感染症は、人工関節の機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、歯周病や皮膚の傷口からの細菌感染が血流に乗って人工関節に到達することがあります。そのため、口腔内の衛生管理や皮膚の清潔を保つことが重要です。また、風邪やインフルエンザの予防として、手洗いやうがい、適切な栄養摂取と十分な睡眠を心がけましょう。 

広島周辺で人工膝関節置換術の合併症にお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください!

人工膝関節置換術(TKA)のあとは、関節の動きや生活環境、体調管理までトータルでのケアが求められます。「リハビリがうまくいかない」「痛みや違和感が残っている」など、術後の不調や不安を感じていませんか?

広島周辺にお住まいの方で、人工膝関節置換術の合併症にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。

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サイト監修者

東京大学 医学部 卒業
美容内科医/美容皮膚科医/AGA外来医/整形外科医

お一人でも多くの方が実績になるよう、真心を込めた対応を心がけております。また、処方後のアフターケアにも細やかに対応いたします。是非お気軽にご相談ください。

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