鍼灸院の施術は、慢性的な痛みや不調の改善に有効な選択肢です。しかし、施術費用が高額になるイメージから利用をためらう人も少なくありません。実は特定の条件下であれば鍼灸院の施術にも健康保険が適用され、自己負担額を大幅に抑えられます。
健康保険が使える鍼灸院の施術は、主に「肩こり」「腰痛」「神経痛」など、特定の6疾患が対象です。本記事では、鍼灸院で保険適用を受けるための3つの条件や保険を利用するまでの流れ、知っておくべき注意点までを網羅的に解説します。
鍼灸院で保険適用を受けるための条件3つ
鍼灸院で健康保険を適用するためには、主に3つの条件を満たすことが必要です。
これらの条件は、健康保険法および関連する厚生労働省の規定に基づいており、すべての鍼灸院に共通するルールです。条件を満たせば施術費の1割から3割の自己負担で施術を受けられます。
①健康保険の対象となる傷病であること
鍼灸の施術で健康保険が適用される傷病は、慢性的な症状に限定されています。具体的には、以下の6つの疾患が対象です。
・神経痛
・リウマチ
・頸腕症候群(けいわんしょうこうぐん)
・五十肩
・腰痛症
・頸椎捻挫後遺症(けいついねんざこういしょう)
いずれも慢性的で長期間にわたる症状が特徴で、急性的な外傷(打撲や骨折など)は対象外となります。
また、慢性的な肩こりや腰痛であっても明確に傷病名がついていることが重要です。医師の判断によってこれらの疾患と認められた場合に限り、保険適用が可能となります。
②担当医の同意書があること
鍼灸の施術に保険を適用するには担当医の「同意書」が必要です。
これは医療機関で症状の改善が見られないときに、医師が「鍼灸を補助的に行うのが望ましい」と判断した場合に発行されるものです。同意書には「患者の症状」「灸施術が必要であると医師が判断した旨」が記載されます。
同意書を取得する際は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
③自身の保険証を提示できること
保険適用を受けるためには、有効な健康保険証が必要です。
保険証の情報(記号・番号・住所・氏名・有効期限など)に変更があった場合は、必ず施術を受ける鍼灸院に伝えましょう。無効な保険証で施術を受けると、後から全額自己負担を求められる可能性もあるため注意が必要です。
鍼灸院で保険適用を受けるまでの主な流れ
鍼灸院で保険適用を受ける際の一般的な手続きの流れを解説します。スムーズに手続きを進めるためには、事前に鍼灸院が保険適用に対応しているか確認しておくことが大切です。
また、医師によっては鍼灸の施術に同意しないケースもあるため、複数の医療機関に相談することも視野に入れるのが賢明です。
1.かかりつけ医に相談する
まず、整形外科などの医療機関に相談します。医師に症状を伝え、鍼灸の施術を受けたい旨を相談します。すでに医療機関での施術を受けている場合でも、鍼灸の施術を検討していることを伝えましょう。
2.同意書の取得
医師が鍼灸の施術の必要性を認めると同意書が発行されます。多くの医療機関では、所定の用紙に症状や施術方針を記入してもらいます。
3.鍼灸院で施術を開始
保険適用に対応している鍼灸院に同意書と保険証を提出します。初診時には、問診票の記入や体の状態を詳しく確認されるため、症状の経緯を正確に伝えることが大切です。
鍼灸の保険はいつ適用される?請求方法は2種類
鍼灸の施術における保険適用には、主に2つの請求方法があります。それぞれの仕組みを理解することで、より安心して施術を受けられます。
①一時的に自己負担する「償還払い」
償還払い(しょうかんばらい)は患者が一度全額を支払い、保険者に自己負担分以外の金額を後日返還してもらう方法です。患者本人は鍼灸院で施術費用を全額支払い、その後に自身で保険者に申請書類を提出する必要があります。
償還払いは、手続きが患者自身に委ねられます。申請には、鍼灸院が発行する「領収書」「施術証明書」「同意書のコピー」などが必要です。書類を準備し、保険者に郵送または窓口で提出することで、後日指定口座に返金されます。
手続きに手間がかかる点がデメリットですが、受領委任払いに対応していない鍼灸院でも利用できる可能性があります。
②その場で差し引かれる「受領委任払い」
受領委任払い(じゅりょういにんばらい)は、患者が窓口で自己負担分のみを支払い、残りの費用は鍼灸院が保険者に直接請求する方法です。この方法が現在最も一般的であり、多くの鍼灸院で採用されています。
受領委任払いの最大のメリットは、患者の手間が少ないことです。患者は窓口で自己負担分を支払うだけで済み、面倒な書類手続きは鍼灸院が行います。
鍼灸院で保険適用を受ける際の注意点
保険適用で鍼灸院を利用する際には、いくつかの注意点があります。思わぬトラブルや全額自己負担につながる可能性もあるため注意しましょう。
すべての鍼灸院で保険が使えるわけではない
健康保険の取り扱いができるのは、「受領委任払い」の申請を行っている鍼灸院のみです。すべての鍼灸院が対応しているわけではありません。施術を受ける前に、ホームページや電話で必ず確認することが大切です。
複数回の通院が必要になるケースが多い
鍼灸の保険適用は、あくまで慢性的な症状の改善を目的としています。そのため、一度の施術で完全に良くなるものではなく、継続的な通院が必要になるケースがほとんどです。施術間隔や通院頻度については、症状や施術方針によって異なります。
保険請求には「同意書の有効期間」と「施術回数」に制限が設けられている場合があります。通常、同意書の有効期間は3ヶ月です。
期間が過ぎた場合や、症状の改善が見られない場合は、再度医師の診察を受けて同意書の再発行が必要になります。これは不正請求を防ぐための重要なルールです。
医科(整形外科など)との併用はできない
鍼灸の保険適用を受ける間は、同一疾患に対して整形外科などの医療機関で健康保険を利用した施術を受けることはできません。
例えば、腰痛で鍼灸の保険を適用している期間に同じ腰痛で整形外科に通い、健康保険で施術を受けることは禁じられています。これは、同じ疾患に対して保険診療の重複を避けるためのルールです。
もし併用が発覚した場合、後日、保険者から施術費用の全額返還を求められる可能性があります。ただし、鍼灸で施術している疾患と別の疾患であれば、医療機関の利用は可能です。たとえば、腰痛で鍼灸を受けている人が、風邪で内科を利用することは問題ありません。
医師が同意書を書いてくれない場合はどうしたらいい?
鍼灸の施術を希望しても、医師が同意書を書いてくれない場合があります。これは、医師が鍼灸の必要性や有効性に懐疑的であったり、医師自身の専門外であると判断したりするケースです。
このような状況に直面した場合は、別の医療機関にセカンドオピニオンを求めてみましょう。複数の医師に相談することで、鍼灸の施術に理解のある医師を見つけられる可能性があります。
また、鍼灸師に相談することも一つの方法です。保険適用に詳しい鍼灸師であれば、提携している医療機関や同意書の発行に協力的な医師を紹介してもらえることもあります。
ただし、同意書を不正に取得することは絶対にしてはいけません。医療制度の信頼を損なうだけでなく、不正が発覚した場合には施術費用を全額返還する義務が生じます。
まとめ
広島周辺にお住まいで鍼灸にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点に、県内に10店舗を展開する整骨院です。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度とアクセスが良く、忙しい方でも通いやすい環境が整っています。
ただ、当院では保険を利用した施術は行っておりません。保険施術では1回にかけられる時間が限られてしまうからです。当院は「改善」を第一に考え、必要な時間をしっかり取りながら施術することを大切にしています。また、不適切な保険請求をせず、安心して通っていただける整骨院でありたいと考えているのも理由の一つです。
どんな些細なお悩みでも気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を丁寧に見極め、改善への道を一緒に探してまいります。
