パソコン作業やスマートフォンの操作、育児や料理などで手首や指を酷使すると、痛みや腫れが現れることがあります。その代表的な症状が「腱鞘炎(けんしょうえん)」です。指や手首の曲げ伸ばしや物をつかむ動作に強い痛みを伴うのが特徴です。この記事では腱鞘炎の原因や症状に加え、セルフケアの方法、悪化を防ぐために避けるべき行動、そして腱鞘炎と似た疾患との違いまで詳しく解説します。
腱鞘炎(けんしょうえん)とは
腱鞘炎は、腱と腱鞘がこすれ合うことで炎症が起きる症状です。腱は、筋肉と骨をつなぐひも状の組織で、これを覆い保護するトンネル状の鞘が腱鞘になります。指や手首の使いすぎにより、この腱鞘が分厚くなったり、腱がこぶ状になったりすることで、スムーズな動きが妨げられ痛みや腫れを引き起こします。特に、指や手首の曲げ伸ばしや、ものをつかむ動作で強い痛みを感じることが特徴です。
腱鞘炎になる代表的な3つの原因
腱鞘炎は、特定の原因が重なることで発症しやすくなります。ここでは、特に注意したい代表的な3つの原因について解説します。
①指や手首の使い過ぎ
腱鞘炎の主な原因は、指や手首の繰り返し動作による物理的な負担です。例えば、パソコンのキーボード入力やマウス操作、スマートフォンの長時間使用、楽器の演奏、スポーツ、料理、育児など、手や指を酷使する習慣がある人は発症リスクが高まります。これらの動作によって腱と腱鞘が摩擦し、微細な損傷や炎症が蓄積され、やがて痛みへとつながるため注意が必要です。
②加齢や女性ホルモンのバランスの変化
腱鞘炎は、年齢や性別も発症に関わる重要な要素です。特に女性は、妊娠・出産期や更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、腱や腱鞘が収縮し炎症を起こしやすくなります。また、加齢によっても腱や腱鞘が衰えて柔軟性が失われるため、わずかな負担でも炎症が起きやすい状態になりがちです。
③糖尿病・人工透析などの影響
生活習慣病も腱鞘炎の要因となることがあります。特に糖尿病患者は、末梢神経や血流が悪化することで、腱鞘炎のリスクが高まることも珍しくありません。また、人工透析を受けている方は、体内の水分や電解質のバランスが乱れることで、手や指のむくみが起こり、腱鞘炎を発症するケースも見られます。特定の病気を持っている人は、手首や指の異変に注意を払うことが大切です。
腱鞘炎の症状が出たときにのセルフケア
腱鞘炎の痛みや腫れが出た際、症状を悪化させないためのセルフケアが重要です。ここでは3つのセルフケアについてまとめました。
手を前に伸ばして指を反らせる

初期の腱鞘炎には、簡単なストレッチで筋肉の緊張を和らげられるケースがあります。
まず、腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを下向きにします。次に、もう一方の手で指先を優しくつかみ、ゆっくりと手前へ反らせましょう。このとき、手首の内側から腕にかけての筋肉が伸びるのを感じるのが適切です。
この状態を15秒ほどキープし、数回繰り返すことで、固まった腱や腱鞘をほぐす効果が期待できます。
痛みがある部位を冷やす

炎症による痛みや腫れが強い場合は、患部を冷やすアイシングが有効です。氷のうや保冷剤などをタオルで包み、痛む箇所に当てて冷やすことで、炎症を鎮め痛みを和らげる効果があります。
冷やす時間は1回につき15分程度が目安であり、長時間冷やしすぎると血行不良を招く可能性があるため注意が必要です。痛みを感じた直後や、手を使った後に痛みが増した際に取り入れると良いでしょう。
テーピングで患部を固定する

日常生活で手を使わざるを得ない場合、テーピングで患部を固定することも一つの方法です。
テーピングによって手や指の動きを制限し、腱や腱鞘への負担を軽減します。例えば、手首の関節を固定するようにテーピングを巻くことで、不必要な動きを抑え、安静に保つことができます。
ただし、強く巻きすぎると血行が悪くなるため、適度な力加減で固定することが大切です。
実は腱鞘炎じゃないかも?類似する疾患に注意
指や手首の痛みは、必ずしも腱鞘炎とは限りません。似た症状を持つ他の疾患も存在するため、自己判断は避け、症状が長引く場合は専門医に相談することが大切です。代表的な類似疾患としては、関節炎や手根管症候群、ドケルバン病などがあります。例えば、手根管症候群は、指のしびれや痛みが特徴であり、手首にある神経が圧迫されることで発症します。また、ドケルバン病は、親指を動かす特定の腱と腱鞘に炎症が起きるもので、親指を曲げたり広げたりすると強い痛みが生じるのが特徴です。
腱鞘炎なったらやってはいけないこと3選
腱鞘炎になった場合、痛みのある部分をかばうことは自然な反応ですが、誤った対処法は症状を悪化させてしまう可能性があります。ここでは、特に避けるべき3つの行動について解説します。
痛みを我慢して手や指を使い続ける
腱鞘炎の痛みを我慢して、普段どおりに手や指を使い続けることは最も避けるべき行為です。痛みは体が「使いすぎている」と発している警告であり、これを無視して無理を続けると、炎症がさらに悪化し、症状が慢性化する危険性があります。仕事や家事などでどうしても手を使わなければならない場合は、こまめに休憩を挟み、患部に負担をかけないよう工夫することが大切です。
強い力で繰り返し同じ動作をする
強い力で繰り返し同じ動作をすることも、腱鞘炎の症状を悪化させる大きな要因です。例えば、重いものを繰り返し持ち上げたり、特定の道具を握りしめて作業したりする動作は、腱や腱鞘に過度な負担をかけます。手を使う際は、できるだけ力を抜いて、動作を分散させることが重要です。また、道具の持ち方や姿勢を見直すことも、負担軽減につながります。
自己流でマッサージやストレッチを行う
痛みを早く和らげたい一心で、自己流のマッサージや強いストレッチを行うことは危険です。炎症が起きている部位に強い刺激を与えると、かえって炎症を悪化させ、痛みを強めてしまう場合があります。特に、腱鞘炎の症状が急性期で、患部に熱を持っている場合は、マッサージは絶対に避けるべきです。セルフケアを行う際は、優しく行うこと、そして痛みが悪化するようならすぐに中止することが鉄則です。
広島周辺で腱鞘炎にお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください!
広島周辺にお住まいの方で、腱鞘炎にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。
