手や指の第一関節（DIP関節）に変形や腫れがあらわれる「ヘバーデン結節」は、特に40代以降の女性に多く見られる症状です。関節が軽く腫れるほか、まれにミューカシスト（粘液嚢腫）と呼ばれる水ぶくれ状の腫れが見られるケースもあります。
本記事ではヘバーデン結節の原因や予防法、整体によるケア方法をはじめ、日常生活で実践できる対処法についても解説します。
ヘバーデン結節とは？
ヘバーデン結節とは、手や指の一番先にある関節（DIP関節）に起こる変形性関節症の一つです。年齢を重ねるにつれて現れることが多いとされ、特に40代以降の女性に多く見られる傾向があります。関節が腫れたり、こぶのように膨らんだりして、指の動きに違和感を覚えることもあるようです。
主な症状は手・指の第一関節の変形
ヘバーデン結節の代表的な症状は、指先にある第一関節（DIP関節）の変形です。関節が硬くふくらんでくるほか、表面にこぶのようなふくらみが現れることもあります。指先の形が変わってきたと感じる方の中には、この症状がきっかけで日常の動作に違和感を覚えるようになるケースも少なくありません。
初期に水ぶくれのようなものができる
初期の症状として、関節に水ぶくれのようなふくらみが見られることがあります。これは「ミューカシスト（粘液嚢腫）」と呼ばれるもので、関節内の潤滑液が皮膚のすぐ下にたまって半透明の腫れとして現れることがあります。自然に破れる場合もありますが、その後に関節の変形が進むケースもあるようです。
原因は不明だが40代以降の女性に多い
ヘバーデン結節のはっきりとした原因は、現在の医学では解明されていません。ただ、実際の傾向としては、40代以降の女性に多く見られます。明確な因果関係はまだ分かっていませんが、更年期は女性ホルモン（エストロゲン）の分泌が大きく変化するため、その影響が関節にあらわれるのではないかと考えられています。
ヘバーデン結節に類似する症状
ヘバーデン結節は、指の第一関節に変形が生じることが特徴です。ただし、これとよく似た症状を引き起こす別の症状も存在します。特に誤認しやすいのが、第二関節に現れる「ブシャール結節」や免疫異常が関係する「関節リウマチ」です。見た目だけで自己判断するのは難しいため、症状に気づいた時点で医療機関へ相談することをおすすめします。
ブシャール結節との違い｜第二関節の症状がメイン
ブシャール結節は、ヘバーデン結節と同様に変形性関節症の一種とされており、手指の第二関節（PIP関節）に腫れやこぶ、変形が生じる点が特徴です。どちらも中高年の女性に多く見られる傾向があり、指の関節に似たような症状が現れるため混同されやすいですが、発症する関節の位置が異なります。
また、ブシャール結節でも可動域の制限や痛みが出る場合がありますが、第一関節に変化が見られないことが、ヘバーデン結節との識別ポイントといえるでしょう。
リウマチとの見分け方｜痛みの出方と関節の場所
関節リウマチも、手指の関節に腫れや痛みが出る病気として知られていますが、その病態や進行パターンはヘバーデン結節とは異なるとされています。関節リウマチは自己免疫疾患に分類され、体の免疫システムが自身の関節を攻撃することで炎症が起こると考えられています。
リウマチの主な発症部位は手首や指の第二関節、第三関節であり、左右対称に症状が出やすい点が特徴です。また、朝のこわばりや全身のだるさなど、関節以外の症状が伴うこともあるため、単なる関節の変形との違いを見分けるのが難しいこともあります。ヘバーデン結節かリウマチかを正しく判断するには、血液検査やレントゲンなどの画像検査を含む、医療機関での詳しい診察が必要とされています。
元に戻すのは難しい？ ヘバーデン結節の予防対策4つ
ヘバーデン結節は、年齢を重ねることや指の使いすぎ、体質などが関係して起こるといわれている変形性関節症の一つです。現在のところ、保存療法や手術でも変形そのものを完全に戻すことは難しいとされています。
とはいえ、発症の初期段階で適切に対処すれば、関節の変形の進行を抑えたり、痛みの悪化を防いだりすることは可能です。ここでは、日常生活で実践しやすい予防策を4つご紹介します。
サポーター・テーピングで固定する
指の第一関節に痛みやぐらつきを感じるときには、専用のサポーターやテーピングを使って関節を軽く固定する方法が有効です。動きを制限することで関節への負担を抑え、症状の進行をゆるやかにする効果が期待できます。特に家事や仕事などで手を頻繁に使う方にとっては、こうしたサポートアイテムの使用が、日常動作による負荷の軽減につながるでしょう。
サプリ・漢方薬を取り入れる
関節の健康を内側から支える手段として、サプリメントや漢方薬の活用も選択肢のひとつです。
たとえば「防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）」や「桂枝加朮附湯（けいしかじゅつぶとう）」といった漢方薬が症状や体質に応じて処方されるケースもあります。ただし、漢方は人によって相性が異なるため、専門家の判断が欠かせません。
投薬・ステロイド注射を行う
痛みが強く、日常生活に支障が出る場合には、消炎鎮痛薬の内服や外用薬による対処が行われることもあります。また、炎症や腫れが強く出ているときには、関節の中に少量のステロイド薬（たとえばトリアムシノロンなど）を注射して、炎症を抑える方法がとられることもあります。注射をすることで、痛みが一時的に緩和されることもありますが、何度も使い続けると副作用が出ることもあるので、回数やタイミングについては、必ず医師と相談してから進めるのが安心です。
関節固定術や関節形成術を検討する
薬やサポーターなどの保存的な方法で改善が見られない場合は、手術を視野に入れることもあります。たとえば「関節固定術」は、痛みの出ている関節を動かないように固定して、痛みを和らげる方法です。
もうひとつの「関節形成術」では、関節にできたこぶや変形した骨を取り除いて、見た目や動きを整えることを目指します。どちらの手術も、症状の強さや日常生活への影響を考えながら、専門の先生としっかり相談して決めていくことが大切です。
ヘバーデン結節の人がやってはいけないこと
症状がある状態で無理に指を使い続けると、関節への負担が増え、痛みや変形の進行を早める可能性があります。重いものを持つ、強く握る、関節に衝撃を与えるような作業は避け、指を休ませる時間を意識的に確保することが重要です。
また、マッサージは医療従事者の指導のもとで行うのが望ましく、自己流で無理に押したり揉んだりする行為は控えるようにしましょう。
ヘバーデン結節に整体は有効？主な施術内容
ヘバーデン結節は医療機関での検査が基本ですが、症状の緩和や日常生活での負担軽減を目的として、整体によるアプローチを取り入れる方もいらっしゃいます。ただし、整体は医療行為ではありません。あくまで補助的な手段として、慎重に検討することが大切です。
整体で行われる主な施術内容としては、以下のようなものがあります。
- 手指の可動域を広げる施術
関節まわりの筋肉や腱をやさしくゆるめ、動きの柔軟性をキープ。痛みの出ない範囲で行われます。 - 全身バランスの調整
姿勢の乱れや体の使い方の偏りによって、手指に余計な負荷がかかっているケースも少なくありません。骨格を整え、全体のバランスからアプローチします。 - 生活指導やセルフケアの提案
整体師によっては、指の使い方や安静の保ち方、テーピングの仕方など、日常生活で実践できるアドバイスを受けられることもあります。
整体を検討する際は信頼できる施術者に相談することが大切です。信頼できる施術者のもとで体の状態に合ったケアを受けるようにしましょう。
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医療機関と併用しながら、体に優しいケアを取り入れてみたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
