「歩くと膝がズキッ」「階段が怖い…」そんな痛みは、軽度〜中等度なら毎日のセルフケアで緩和が可能です。正しいストレッチと筋トレで、膝まわりの柔軟性と安定性を高め、動きをラクにしましょう。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、膝の関節にある軟骨がすり減ることで炎症や痛みが起こる病気です。
中高年に多く、特に50代以降の女性に目立ちます。膝の軟骨の役割は、骨と骨が直接こすれないようにするクッションです。しかし、加齢や筋力低下などが原因で少しずつ摩耗し、やがて骨同士が接触して炎症を引き起こします。
進行すると関節が変形し、O脚・X脚になったり、歩行が困難になったりすることもあります。
変形性膝関節症にストレッチは効果ある?
「ストレッチって意味あるの?」「逆に悪くならない?」そんな不安、よく聞かれます。たしかに、ストレッチだけで軟骨が元通りになることはありません。でも、正しく行えば、膝の動きを助け、痛みを軽くする手助けになります。
実際、膝関節周囲の柔軟性を高めることで、動作時の関節ストレスを減らし、痛みを緩和できるという報告があります(※日本理学療法学術大会 2008年)。
ただし、炎症がある時や強い痛みがある時に無理に動かすと逆効果です。
ストレッチは「気持ちよく動ける体づくり」のための習慣。焦らず、膝の声を聞きながら続けていきましょう。
ストレッチを始める前に気をつけたいポイント
ストレッチは膝のケアに効果的ですが、やり方を間違えると逆効果になることも。安全に取り組むために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 痛みを我慢しない
ストレッチは「痛気持ちいい」と感じる程度がベスト。強く伸ばしすぎると筋肉が緊張し、かえって硬くなってしまいます。 - 呼吸を止めずにゆっくり
つい力が入って息を止めてしまいがちですが、深呼吸を意識しながらゆったり伸ばしましょう。息を吐きながらストレッチすると、体が自然にリラックスして筋肉もほぐれやすくなります。 - 体が温まった状態で行う
寒い時や朝イチよりも、入浴後や少し歩いた後など、体が温まっている時がベスト。筋肉が柔らかくなり、ケガのリスクも減らせます。 - 動きやすい服装・滑らない床で行う
動きやすい服を選び、滑りやすい床にはヨガマットやバスタオルを敷くと安心。膝が不安な方は、下にクッションを入れてサポートするのもおすすめです。
ストレッチは無理せず続けることが何より大切です。焦らず、自分のペースでコツコツ取り組んでいきましょう。
膝の痛みを緩和するストレッチ
ここからは、膝の痛みの場所別におすすめのストレッチを紹介します。無理なく、自分のペースで取り組んでみてくださいね。
膝の外側が痛い時
膝の外側に痛みがある場合、太ももの外側(大腿筋膜張筋)や腸脛靭帯のこわばりが原因のひとつです。これらが硬くなると、膝の外側を引っ張る力が強くなり、歩行時にズキッとした痛みが出ることがあります。
また、ふくらはぎの腓腹筋やすねの前脛骨筋も膝を支える筋肉で、硬さや弱さが膝の不安定さにつながります。
そこでおすすめなのが、「クロスレッグ・ストレッチ」です。
- 両足をクロスし、痛い方の足を後ろに
- 両手を腰に添えて、上体を反対側にゆっくり倒す
- 外もも〜腰にかけて伸びる感覚があればOK

イメージ画像:ひざクロスストレッチ:今日の1ポーズストレッチ:日経Gooday(グッデイ)
このストレッチは膝の外側への負担を減らし、動作をスムーズにします。
入浴後など体が温まったタイミングで、呼吸を止めずに気持ちよく行うのがポイントです。
無理のない範囲で、毎日少しずつ続けてみてください。
膝の内側が痛い時
膝の内側の痛みは、太ももの内側(内転筋)や膝の内側の靭帯が硬くなったり、筋力が弱まったりして起こることがよくあります。内転筋がうまく使えないと、歩行時に膝が内側へねじれるような力がかかり、痛みを引き起こしやすくなります。
そこでおすすめなのが、座ったままできる「内ももストレッチ」です。
- 床または椅子に座り、両足の裏を合わせて膝を左右に開く。
- 背筋を伸ばしたまま、上体を前にゆっくり倒していく。
- 太ももの内側が伸びていればOK。

イメージ画像:内ももストレッチ:今日の1ポーズストレッチ:日経Gooday(グッデイ)
このストレッチは、膝の内側に負担をかけにくく、安全性が高いのがメリット。股関節の柔軟性も高まり、姿勢改善にもつながります。
ポイントは「呼吸を止めずに」「反動をつけない」こと。毎日のスキマ時間に無理なく続けることで、膝周りのバランスが整い、内側の痛みの軽減が期待できます。
膝の動きをよくするためのストレッチ
膝を曲げる筋肉をゆるめる
膝の曲げ伸ばしがしづらいと感じる方は、太ももの裏側にある「ハムストリングス」が硬くなっている可能性があります。
この筋肉は膝の動きに大きく関わっており、柔軟性が低下すると可動域が狭まり、しゃがむ・歩くといった動作にも影響します。
おすすめは、座ってできる「ハムストリングスストレッチ」です。
- 床に座り、片足を前に伸ばしてもう一方の足は曲げて内側へ。
- 背筋を伸ばしたまま、前に出した足のつま先に向かって上体をゆっくり倒します。
- もも裏にじんわり伸びる感覚があればOK。

イメージ画像:姿勢別のハムストリングスストレッチ 全18種について | 介護ソフト・介護システムならリハブクラウド
このストレッチは、膝の曲げ伸ばしをスムーズにし、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
アキレス腱とふくらはぎを伸ばす
膝の痛みというと太もも周りをイメージしがちですが、実はふくらはぎ(腓腹筋)やアキレス腱の柔軟性も大切なポイントです。
おすすめは、立ったままできる「アキレス腱&ふくらはぎストレッチ」。
- 壁に手をついて、痛みのない方の足を前に、痛みのある方を後ろに引く。
- 両足のつま先を正面に向け、後ろのかかとを床につけたまま体重を前へ移動。
- ふくらはぎがじんわり伸びていればOKです。

このストレッチは、足首の柔軟性を高め、歩行時の推進力をサポートしてくれるだけでなく、膝関節の動きもスムーズにしてくれる効果があります。特に、階段の上り下りや坂道がつらい方におすすめ。
ストレッチは左右それぞれ20〜30秒ほどを目安に、反動をつけずにじっくり行いましょう。
膝周りの筋肉全体をほぐす
変形性膝関節症のケアで重要なのが、膝関節を支える筋肉全体のバランスを整えることです。特に前もも(大腿四頭筋)が硬くなると、膝蓋骨の動きが悪くなり、膝にかかる負担が増えて痛みを誘発しやすくなります。
そんな時におすすめなのが、「前ももストレッチ(クアドストレッチ)」。
- 壁やイスに片手を添えて立ち、片足の足首をつかんでかかとをお尻に近づけます。
- 膝を後ろに引くようにして、前ももが伸びるのを感じましょう。
- 反対側も同様に行います(転倒防止のため支えは必須!)。

イメージ画像:下半身のストレッチ22選~おしり、太もも、ふくらはぎ、すね~【画像大量】 | GronG(グロング)
このストレッチは、大腿四頭筋をやさしくほぐし、膝の動きにしなやかさを取り戻す効果が期待できます。また、日常生活で歩く・立つ・座るといった基本動作がラクになるのも大きなメリット。
膝のお皿(膝蓋骨)の動きをよくする
膝のお皿(膝蓋骨)は、膝の曲げ伸ばしに欠かせない骨のひとつです。
変形性膝関節症が進むと、このお皿の動きが悪くなり、膝を動かすたびに「ゴリッ」「カクッ」とした違和感や痛みを感じることがあります。
そんな時におすすめなのが、膝蓋骨モビライゼーション(動きの改善ケア)です。
- 床に座り、足を伸ばしてリラックスした姿勢を取ります。
- 膝のお皿の上下・左右・斜め方向に、やさしく指で動かしていきます。
- 痛みのない範囲で、1回5~10回を目安に行いましょう。

イメージ画像:膝の痛み予防第三弾‼️膝蓋骨のケア‼️ | ストレッチ道場 公式ホームページ
このケアは、膝関節内の滑りを良くし、動き出しの「こわばり」や「詰まり感」の軽減に効果的です。また、膝周囲の血流促進にもつながり、リハビリや運動前の準備としても有効。
太ももの裏(ハムストリングス)を柔らかくする
膝の曲げ伸ばしをスムーズにするには、太ももの裏にある「ハムストリングス」の柔軟性が欠かせません。ハムストリングスが硬くなると、膝の可動域が制限され、ちょっとした動きでも膝への負担が増してしまいます。
そこでおすすめなのが、「前屈ストレッチ」です。
- 床または椅子に座り、片足を前に伸ばし、反対の足は軽く曲げて内側に。
- 背筋を伸ばしたまま、前に出した足のつま先に向かって、ゆっくり上体を倒します。
- もも裏が伸びている感覚があればOK。反動をつけず、20〜30秒キープします。

イメージ画像:1回だけでも効果的!「前屈」の意外なメリットとは – スポーツナビ
このストレッチのメリットは、膝の柔軟性を高め、痛みの出にくい関節環境を整えられる点。朝の体操や運動前後に取り入れて、膝の負担を減らしていきましょう。
変形性膝関節症の痛み予防には筋トレもおすすめ!
膝の痛み対策というと、ストレッチや安静が思い浮かびがちですが、実は筋トレもとても大切です。
筋力が落ちると関節の安定性が失われ、膝への負担が増してしまいます。特に内ももやお尻まわりの筋肉を鍛えることが、痛みの予防や再発防止に役立ちます。
太ももの内側(内転筋)を鍛える
変形性膝関節症の方によく見られるのが、膝の内側の痛みや不安定感。その背景にあるのが、太ももの内側「内転筋」の筋力低下です。この筋肉が弱くなると、膝関節が外側に開きやすくなり、内側に過剰な負担がかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、「タオル挟みトレーニング」です。
- 椅子に座って両膝の間にタオルやクッションを挟む。
- 太ももを使って軽くギュッと押し合うように力を入れ、5秒キープ。
- 力を抜いてリラックス。これを10回×2セット繰り返します。

イメージ画像:「バスタオル挟み体操」と「太もも伸ばし体操」でひざを安定させて痛みを除く! | 毎日が発見ネット
このトレーニングは、膝の安定性を高めるだけでなく、骨盤や姿勢のバランスを整える効果もあります。座ってできるので、テレビを見ながら、食後の休憩時間などにも取り入れやすいのが魅力です。
お尻の横側(中殿筋)を鍛える
膝ばかりに注目されがちですが、実はお尻の筋肉も膝の安定にとって非常に重要です。特に「中殿筋」と呼ばれるお尻の横側にある筋肉は、歩行中に骨盤を安定させ、膝が内側に入り込むのを防いでくれる役割があります。
この筋肉が弱いと、体のバランスが崩れて膝にねじれのストレスがかかりやすくなり、結果として変形性膝関節症の悪化を招く原因に。
そこでおすすめなのが、「サイドレッグレイズ」。
- 横向きに寝て、下の足を軽く曲げて安定させる
- 上の足を膝を伸ばしたまま、真上にゆっくり持ち上げる
- ゆっくり戻す。これを10回×2〜3セット目安に

イメージ画像:脚をすっきり、ヒップアップ…。目的別・尻&脚の自宅トレ4選
このトレーニングは、骨盤や股関節の安定を助け、歩行時のバランスを整えて膝へのねじれ負担を軽減します。お尻の引き締めや姿勢改善、転倒予防にも効果的です。
背中から太ももまで広範囲を鍛える
膝の痛みを予防・改善するには、太もも・お尻・背中といった下半身全体の筋力をバランスよく鍛えましょう。中でも「スクワット」は、膝まわりの筋肉はもちろん、体幹にも働きかける効率的なトレーニングです。
ただし、変形性膝関節症の方は膝に負担をかけないフォームで行うことが重要。そこでおすすめなのが、膝にやさしいスクワットです。
- 椅子の前に立ち、足は肩幅・つま先はやや外向き
- お尻を後ろに引くイメージで、ゆっくり腰を下ろす
- 椅子に軽く触れるくらいで止めて、また元の姿勢に戻る

イメージ画像:プロが教える!効果的に痩せを狙う、スクワットダイエット【やり方5選】 | Precious.jp(プレシャス)
このスクワットは、膝関節の安定性を高め、歩く・立つ・座るといった日常動作をスムーズにする効果があります。さらに、太ももやお尻、体幹など、下半身全体を効率よく鍛えられるのも大きなメリットです。
大切なのは、無理をせず、自分のペースで少ない回数から丁寧に行うこと。毎日の習慣として続けることで、膝の安定や体の動きやすさを実感できるようになります。
変形性膝関節症は自力で治せる?セルフケアの限界
「ストレッチや筋トレで、本当に膝は良くなるの?」そう思われる方も多いのではないでしょうか。たしかに、軽度〜中等度の変形性膝関節症であれば、セルフケアによって症状の進行を遅らせたり、痛みを和らげたりすることは十分に可能です。
しかし一方で、すでに軟骨の摩耗が進んで関節の変形が強い場合や、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、セルフケアだけでは限界があります。
たとえばこんな状態は要注意です。
- 膝の腫れや熱感が慢性的に続いている
- 安静にしていても痛む
- 歩行時に膝がぐらつく、力が抜ける感じがある
広島周辺で変形性膝関節症のストレッチでお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください!
ここまで読んでくださったあなたは、きっと「なんとかこの膝の痛みを少しでもラクにしたい」とお考えのはず。セルフケアは大切ですが、自分の体に合った方法を選ぶのは意外と難しいものです。
「このストレッチ、私に合ってるのかな?」
「痛みがあるけど、続けてもいいの?」
「最近、膝の形も気になってきた…」
そんな時は、どうかひとりで悩まず、プロにお任せください。
広島周辺にお住まいの方で、変形性膝関節症にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。
